蚕はクワの葉を主食とした蛾の幼虫で、
ミツバチなどと並び、鑑賞用以外の目的で飼育される珍しい昆虫です。
飼育の目的はもちろん天然繊維の絹ですね。
蚕はサナギになるとき繭をつくるのですがこれが絹の原料となります。
日本では古事記に記述があるほど蚕の飼育の歴史が長く、
戦前では主要な輸出品であり、合成繊維が開発されるまでとても重要な役割を果たしていました。
また、農家にとって貴重な現金収入源であり、地方によっては「おカイコ様」といったちょっと危ない呼び方をしていたそうです。
そしてこの蚕は家畜化された昆虫で、野生には生息していません。
これは意外ですよね。田舎に行けばたくさんいそうなのですが…。
また、蚕は野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られています。
餌がなくなっても逃げ出さず、野生に返しても体が目立つ白色なのですぐに食べられてしまいます。
さらにクワの葉などにとまらせても力がないため、すぐに地面に落ちて死んでしまいます。
運よく成虫になったとしても、
必要な筋肉が退化していることにより、羽ばたくことはできますが飛ぶことはできません。
なので、蚕を野生に返したとしてもすぐに絶滅してしまうのです。
蚕は人間がいないと生きていけません。
見た目は気持ち悪いですけど、
なにもできないと聞くとちょっと可愛く見えてきませんか?
完全に依存してるあたりが、人間の赤ちゃんみたいですね。