伝書鳩と聞いたら、かなり古い時代の情報伝達手段だと思いますよね。
そもそもなんで鳩なのかというと、鳩は帰巣本能が強く自分の巣に戻る習性があります。
伝書鳩はその習性を上手く利用したものなんですね。
でも、意外と最近まで使われていたのを知っていますか?
実は伝書鳩は、1966年まで新聞社などが普通に使用していたのです。
1966年と言われてもピンとこないかも知れませんが、テレビや自動車はもちろん電車や飛行機もある時代です。
他にも伝書鳩の終わりの年にはこんな出来事がありました。
■日本テレビで「笑点」が放送開始
■ビートルズ来日
■日産のサニーが発売
■日本の総人口1億人突破
なんか信じられないですよね。
主に伝書鳩を使っていたのは新聞記者で、当時はスクープがあると伝書鳩を抱えて現場に向かっていたそうです。
なんか想像すると面白いですよね。
そこで写真をとり、文書を添えて伝書鳩を離します。
すると巣箱がある新聞社に戻りそれが記事になるといった流れです。
当時は写真を送るという技術がありませんでしたので、伝書鳩を使っていたのだと思います。
新聞の記事はスピードが命ですからね。
1953年、皇太子様がイギリスのエリザベス女王戴冠式に出席される際に、
横浜港を出発した客船でくつろぐ皇太子様の写真を撮って記事にしたいと各新聞社は画策します。
問題なのは船の上から写真を新聞社にどう届けるか…
なんと航海中のその船から東京までは約600kmもあったのです。
伝書鳩はだいたい300kmが限界とされていたので600kmは絶望的数字でした。
しかし当時は他の手立てはなく、1羽でも帰れば…という希望的観測でフィルムをつけた伝書鳩を10羽放ちました。
結果、全滅です。
直接新聞社に帰ってきた伝書鳩はいませんでした。
しかし、かろうじて1羽だけ航海中の貨物船に保護され無事新聞社に届けられた伝書鳩がいたのです。
その写真が「皇太子さま、ほめて…私は力の限り飛んだ」という見出しとともに朝刊に掲載されました。
↓こちらが実際の記事です
今では考えられませんが、ちょっと感動的ですよね。
その後、惜しまれながらも伝書鳩は廃止されますが…
現在公園などに大量にいる鳩は、もしかしたら昔伝書鳩として使われていた鳩たちの子孫なのかも知れません。