ひとえにあんこうと言っても実は300種類もいると言われています。
その中でも有名なのが「チョウチンアンコウ」ですよね。
その独特な見た目でかなりインパクトがあります。
しかし、このチョウチンアンコウは有名なわりにその実態はほとんど知られていません。
極めて珍しく、とれてもまず食べられません。貴重なため標本にされるからです。
ん?でもあんこうってあん肝とか鍋とかで食べられてるじゃん
と思うかも知れませんが、鍋などにして食べるあんこうと、チョウチンアンコウは別物です。
パンダとレッサーパンダくらい違います。
まず、あんこう類は水深500mくらいまでの海にしかいませんが、
チョウチンアンコウ類は水深800m~2500mもの深海に住んでいます。
次に、あんこうは海底にべったり貼りついてほとんど泳ぎません。
そして平たい。
海底の魚特有の形をしています。
チョウチンアンコウは深海を漂うように泳いでいます。なので丸いあんこ型です。
ちなみにあんこ型というのはあんこうが語源らしいです。
あんこうにもチョウチンアンコウにも、頭の上に「アンテナ」のようなものがありますが、残念ながらあんこうは光りません。
対して、チョウチンアンコウは、まさに提灯(ちょうちん)のように光ります。
とても暗い深海に棲むので、光で餌になる魚をおびき寄せる必要があるのです。
この独特な生態が人気なんでしょうね。
そして、あんこう類はオスが極端に小さいのです。
個体差もありますがメスの半分や3分の1なんてざらです。
さらに寿命も短い…。
この最たるものがチョウチンアンコウで、
メスが60cm程度なのに対してオスは4cmもありません。メスの15分の1!
女尊男卑ここに極まれりといわんばかりの差です。
さらにオスは性的に成熟すると口がペンチのような形になり、広い暗闇の深海の中でひたすらメスを探し回って、
メスを見つけるとオスは鋭い歯で噛みつき、くさびのようなもので外れないようにしがみつきます。
しばらくすると、オスの唇とメスの皮膚が血管レベルまで融合し、メスの血管から栄養を摂るようになります。
そして目は小さくなり、内臓も失われ、精巣だけが大きくなります。
この間、メスは積極的に他のオスも誘惑します。
1匹のメスに複数のオスが寄生することもあるそうです。
その後、メスの排卵に合わせて放精し子孫を残すことには成功しますが、
オスのチョウチンアンコウはそのまま死んでしまいます。
なんか涙が出てきました。
ただ、私たちの住む世界とは全く違います。
何も見えない広い暗闇の深海の中でメスと出会うことを想像してみてください。
これはもう奇跡です。
冬になると旬になるあんこう…。
美味しく食べられるあんこうもいれば、深海でメスと命がけのセックスをするあんこうもいる。
頑張れあんこう!