高級魚として知られるふぐは、ふぐ刺しやふぐちり、ふぐの白子など旬の冬に食べたくなりますよね。
漢字で「河豚」と書きますが、中国で食用とされるふぐが河川に住んでいて、豚のような鳴き声をすることから「河豚」となりました。
また下関や北九州などでは「ふく」と呼ばれますが「不遇」や「不具」を連想させるふぐをさけ、縁起をかついで「ふく(福)」と呼ぶようになったそうです。
そして、ふぐと言ったら毒ですよね。
ふぐの毒はテトロドトキシンという猛毒で食後20分から3時間程度の短時間で中毒症状が現れます。
重症の場合には呼吸困難で死にます。
今のところ、ふぐ毒に対する解毒剤はありませんが適切な治療を受ければ助かりますのでご安心ください。
日本では豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、九州でふぐを食して死亡する兵士があとを絶たないことからふぐ食の禁止令が出されたそうです。
その後、江戸時代を通してふぐを食することは禁止されていました。
ふぐのことを「てっぽう」とも呼ぶのですが、これはあたったら死ぬという意味です。
「ふぐは食いたし、命は惜しし」と落語の一節にあるぐらい、ふぐは美味しく魅力的な魚でした。
そのため日本人は諦めきれず、ふぐをなんとか食べれないかと試行錯誤し毒のある部位を丁寧に取り除くことでふぐが食べられることが分かりました。
その後、毒性の強い肝臓と卵巣はすべてのふぐで食用とすることが禁止になったのですが、石川県の人たちが「これ卵巣もうまいんじゃね?」と猛毒の卵巣に目を付けます。
「毒があるからぬかにぶち込んどけ~」
そんなやり取りがあったかは定かではないですが、卵巣を2年以上にもわたって塩漬けおよびぬか漬けにして無毒化した「ふぐの子ぬか漬け」という郷土料理が石川県にあります。
一般的な魚卵に比べて塩漬期間が長いため、味が濃厚で塩気が強いのが特徴だそうですが、毒がなくなる要因がいまだに分かってないそうです…。
ただし、しっかり検査されていますので安心して食べられます。
でもまあよく食べようと思いましたよね。
人間の欲の深さというか探求心というか、ちょっとあきれちゃいます。
ちなみに、ふぐの白子はオスの精巣の事で毒はありません。
対してメスの卵巣には毒があるなんて、男女の縮図というかなんとも言い難い感じですね。
最後に日本における食中毒の原因のほとんどがキノコとふぐで、ふぐによる事故の多くは素人料理人によるミスだそうです。
皆さん、ふぐを食べる際は十分お気を付けくださいね。